新型コロナウイルス感染症により、日本の企業活動が、大
きな打撃を受けた。そのような中で、明るい兆しを感じさせ
るのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組み
である。DXについては、経済産業省が次のように定義してい
る。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データと
デジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品
やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その
ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上
の優位性を確立すること」と、やや抽象的に記されているが、
具体例としては、ズームといったオンライン会議の、プラッ
トフォームの利用が急拡大し、テレワークが日本の新常態
( ニューノーマル)になりつつあることなどが、挙げられる。
菅新政権発足後、デジタル庁が創設され、DXが、加速度的に
進められる可能性は、高い。
介護の現場のデジタル化に注目すれば、①介護サービスに
おけるロボット・センサー・AI等の導入②行政に提出する文
書やケア記録等のICT化の推進③ビッグデータを使用した介
護サービスの効果の正確な測定に関して、全国の介護事業所
から、報告書が、国へと提出をされている状況である。その
一部として、介護ロボット導入が、「見守り」「移乗支援」
「コミュニケーション」で、確実に実績を重ねているようだ。
我々の施設も、センサー等が活躍し、スタッフの信頼を得
るに、至っている。しかしながら介護事業所にとってのDX
導入が、業務効率化のためのデジタル化を目的とする、と捉
えるのは、誤認である。介護される人にとって、施設とは、
「大切な生活の場」に他ならない。その場が、潤いや喜びで
満たされるように、DXが活用されることに、大きな意義が
ある。それはつまり、介護される側が、DXに何を求め、期
待を寄せているのか、介護する側が、繊細に読み取り、具
体的なアイデアに結び付けるという、両者が協働して、価値
創造のプロセスを模索することに、他ならない。
DXの推進に関しては、我々の法人としても、短視眼的な
目線ではなく、長期的な展望のもとに、知識創造を通して、
双葉会にしかできない、未来像を描きたいと考えている。そ
の為には、デジタルリテラシーに能力を発揮する、人材の育
成に、取り組まねばなるまい。